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料理

高齢になるにつれ、だんだんと台所に立たなくなるとお話しされる方も多いと思いますが、その背景には、年々「立ち仕事が難儀になった」、「包丁が握れない」と体力の面で不安に思う方や、同居の家族から「もう料理はしなくていいよ」と台所を預けてもらえなくなったという方も少なくないようです。


一言に料理とはいえ、

まずはあたりまえに献立を考えるところから始まり、材料の準備、料理をつくる(調理)、そして配膳、片付けなど、手先を使う以外にも、準備や工程で頭も使うなど、その一つひとつを見ても実に多くの作業が含まれます。

誰にとっても楽な仕事ではないことは、皆さんや私たちにとっても日常だからこそよく分かりますよね。

ただそれも嫌なことばかりではなく、美味しいものを食べて幸せな気持ちになったり、食事を通じて会話が弾むなど、「食」という楽しみを持てることで、特にご高齢の方にとっては気持ちの面でもやる気や自信を呼びさまします。


リハビリを通じて何を得たいか、何を目標にリハビリをしてるのか、そんなご利用者様との会話の中で、特に女性の方に多いのが「料理が作れるように」…という思い。

自信がなくなって台所に立たなくなった一方で、食事をお弁当に頼ったり、お惣菜を買ったり、ご家族やヘルパーさんが代行してくれたり、食事という選択肢は様々な方法で補うこともできますが、どれをとっても、味や献立が自分の好みとは違う、食に楽しみが持てない、食欲が無い…そんな声もチラホラあがることもしばしば。


そんな、とあるご利用者様の「自分で作った里芋の煮物が食べたいな」の一言から、今回はさつまいもご飯と、里芋の煮物作りをやりましょう!と、調理企画がスタート。


握力が弱くなった事から、包丁を扱う事に自信をなくしてしまっていた彼女。

調理をする前日には「昨日、包丁の練習してきたの」と照れ笑いの呟き…。

「えっ? もうやっちゃったの?笑」

驚きと共に、当日を迎えるまでの彼女の真面目さと、気持ちの強さを伺いながら調理を開始!


工程での面倒な作業や細かい作業は、簡易的な方法も含め、様々な手段を事前に検討。

ちなみに里芋の皮剥きは、レンジでチンッして皮をツルっと剥きました!

用具に頼らなくても、ほんのちょっとの工夫をするだけで、難しい作業も出来ないことも可能になる…


味見する度に「美味しい」とにっこり笑顔。

「里芋は電子レンジだね!今度家でやってみよう!」


日頃の運動する表情とは別で、

集中しながらも、テキパキと手際良く料理をする姿を横目に見ながら、いつもこんな風に台所でご飯を作っていたんだねと、そんな日常を想像できるひと時…。


運動もあたりまえに大切だけど、

その過程で、何をやるのか、何ができるようになったのか、それがどんな時間なのか、

ただただ数値化したリハビリの結果をお返しするのではなく、結果を元に体験や時間を通じて成果を可視化をすること。


この繰り返しが自信の回復に繋がっていってほしい…そんなことを考えさせられる、素敵な時間を過ごすことができました。


何より、美味しい!美味しかったね!って会話、本当に大切ですよね!




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